旅をすればするほど、思い知るのは世界の広さ。
ここに並んでいる国旗を眺めてみても、行ったことのない国がほとんどだ。

世界がどんなに広いのか。
それを知りたくて、海を渡ったのが１０年前。
以来、十何回も旅をしたけれど、行けば行くほど世界の広さを思い知る。

旅人の坩堝と化したカオサンで、まだ見ぬ国に思いを馳せる。

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外国人料金に腹を立てることも少なくないひとり旅。
もし学生だったら、時には運賃や入場料を学割で安くあげることもできるのに・・・
とは、誰でも１度は考えたことがあるはずだ。

そんな望みも、カオサンでは簡単に叶ってしまう。

ここは、学生証ほか各種証明を売る露店。
こんな安易なものが道中使えるのかどうか、僕にはわからない。
けれど、通用してしまうかもしれない、と思えてしまうアジアの旅。

お試し経験のある人は、ぜひご一報を。

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カオサン通り沿いの、とある雑貨店が入った建物の上を見上げると、
そこに大きく掲げてあったタイ全図。

子供のころ初めて県外に出て、テレビの天気予報を見たときの違和感。
それと同じ感覚を、この地図を見て味わった。

今振り返ってみると、この国ではいろんな場所へ旅をした。
聖地カオサンでタイ全図をしばし眺めて、過ぎ去りし旅の日を想う。

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パッタイの店なんて、１０年前にはあっただろうか。
（タイ名物だから普通にあったかもしれないけれど…（笑））

カオサン周辺の屋台といえば、フライドライス、バーミンが定番。
南国らしいフルーツ売りにも、ずいぶんお世話になった記憶がある。
それから、カオサンからちょっと裏に入ったコンビニの前には、
絶品のお粥を食べさせる人気の屋台があったけ。

カメラを構えている間に、焼き上がったおいしそうなパッタイが目の前に山盛り。
カオサンらしく、ここも周りを囲むお客は外国人。
野菜と油の香ばしい匂いが、道行く旅人の食欲をくすぐる。

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しばらく歩くと、濛々たる煙を巻き上げる屋台に出くわした。
香ばしい焼き鳥の匂いに誘われて、旅人が数人並んでいる。

旅を始めたころ、屋台の食事に飛びつくには勇気がいったものだ。
目に飛び込んでくるモノにいちいち驚かされる新米のバックパッカーは、
衛生状態の良くないアジアで屋台でのメシはちょっと敬遠してしまう。

けれど、思い切ってこんな焼き鳥を一口にほおばってみるとどうだろう。
遠い異国だったその国が、にわかに身近に感じてくるのだ。

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安宿と土産物屋、飲食店、両替商などが軒並みの一直線の往来。
車道には露天がびっしりと繰り出して、その間をけたたましいエンジン音を響かせて、トゥクトゥクやバイクが走り抜ける。
喧噪の絶えない往来のパワーは、いつも旅人の心を高揚させてきた。

しばらくアジアの旅を離れて、ここを訪れたのは７年ぶり。
変化の激しいバンコクで、７年はひと昔どころか大昔と言えるくらいの時間だ。

かつての見慣れた往来は、僕が知ってるよりも確実にパワーを増している。
強力な磁力に吸い寄せられるように、連日多くの旅人と、彼らを相手に商売を営む現地人が集まってくる。

聖地が大きく変わってしまったのか、僕が歳を取ったのか。
７年ぶりに歩いたカオサンは、何か吹っ切れたような顔をしていた。

アジアの混沌がまだ往来のあちこちに残っていた１０年前。
アジアの安宿街らしからぬ小綺麗な店まで登場した現在のカオサン。
僕がよく通っていたオープンカフェは、今やグランドピアノを置いた瀟洒なレストランになっている。

「タイは若いうちに行け」という。
７年ぶりにここにやって来て、その意味が少しわかったような気がした。



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今は良い時代で、日本のパスポートで入れない国はほとんどない。
１０年少し前まで内乱で大荒れだったカンボジアも、最近は多くの観光客が来るようになった。

旅人として見ておきたい国、見ておきたいモノは何か、と言われたら、
インドとアンコールワットを挙げる人は多いと思う。
この歳になるまで旅をして、見ておきたかったアジアの至宝を自分の記憶に刻むことができたのは望外の幸せだった。

さて、次回からはちょっと番外編。
トランジットで半日滞在したカオサンロードとその周辺の様子をアップする予定。
初めてあの場所を訪れてからはや１０年。
旅人の聖地カオサンロードの今をお見せします。

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アンコール遺跡群の奥の院、鬱蒼とした熔樹の森の中に
ひっそりとたたずむ遺跡、タ・プローム。

ここは、文化財保護の困難さとその大切さを知ってもらうために、
あえて修復せずに据え置かれている。

苔むした寺院跡に“諸行無常”を感じたくて、
毎日たくさんの日本人が見学に来るという。

この寺に入ったとき、強いスコールが降り出した。
榕樹の森の重苦しい深緑と激しい雨音が、自然の底力を教えている。

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いくつかの遺跡を巡った中で、いちばん居心地の良い場所はやっぱりここだった。
だから、アンコール滞在最後の２時間は、もう一度この場所へ。

よく見ると、菩薩たちの表情はどれも微妙に違っている。
それらを見比べながら、境内をゆっくりひと周り。

自分のお気に入りを見つけたら、その微笑みがよく拝める場所に腰かける。
こうして座っていると、目の前の菩薩が語りかけてくるようだ。





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普段酒を飲まない僕も、旅先ではたまに一杯やることがある。
旅仲間と一緒だったり、現地の人々に囲まれながらの楽しいひとときであったり、１人だけの気ままな晩酌だったり。
どんな状況でも、それは旅の中の優雅な時間であることに変わりはない。

オールドマーケットに隣接した安食堂。
現地の人々で賑わう店内でクメールの言葉を聞きながら、
アンコールビールの喉ごしを楽しむ。



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