古くからオリエントの楽園と称えられたシリアの首都、ダマスカス。
旧市街に立つ世界最古のイスラム建築、ウマイヤド・モスクの境内。
奈良の法隆寺と同じ頃にできたこのモスクは、1300年にわたってこの地を見守り続けた、世界に誇る文化遺産。
東南アジア、ネパール、イランを廻ってきた旅人の目に映るダマスカスは、オリエントの楽園の名にふさわしい、魅惑的な街だった。アジアとヨーロッパの文物が交わる、東西文明の十字路として栄えた古代都市。アジア人ともヨーロッパ人とも見分けのつかぬ顔をした人々が往来を闊歩する。
ローマ時代に造られた旧市街を歩いて訪れたウマイヤド・モスクは、イスラム教4大聖地のひとつ。シリア国内のみならず、周辺の国々から、今も多くの巡礼者がやってくる。門を入り、鏡のように磨きあげられた御影石の境内に立てば、宙に漂うアザーンの声に恍惚となる。
積み重ねられた時間の重みを肌で感じながら、ダマスカスが潜りぬけてきた栄枯盛衰を想う。
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