サラリーマンのネクタイには、人それぞれの個性があります。意識する人は意識して、意識しない人は無意識に、ネクタイに個性を表します。時には、同じネクタイを平然と3日も続けてしていた人が、結婚した途端にセンスアップした、ということもないではありません。ははあ、新妻に命じられたのだな、と口には出さずに肚のうちで笑った経験が、皆さんも職場であったかもしれません。
僕は、これでもネクタイにはうるさい方で、暇を見つけてお決まりの店に出かけては、時の流行をチェックします。小紋柄やストライプ、無地のものからペイズリ??と呼ばれる絵柄のものまで、ネクタイのデザインは千差万別で、これに生地や織り柄の違いまでを含めると、異なるブランドで同じネクタイというのはほとんど存在しない、と言っていいでしょう。さらに、季節ごとに新しいデザインが登場すること、昨日の新作は今日の旧作というくらい目まぐるしいものです。
お決まりの店、と言いましたが、僕がネクタイを買うのは、1年の内ほんの2〜3本に過ぎません。したがって、あいつはよく来るが滅多に買い物をしていかない客だ、と、店員は怪しんでいるでしょう。何を隠そう、僕は買い物を目的に行くのではない、店員のコーディネートやディスプレーの合わせ方を見に行くのです。そして、いかにもお洒落をしています、といった風の派手な色彩のものとは正反対の、一見ごく普通のネクタイを年に何本か買って、それを通に見せるためにあれこれ考えるのです。
ネクタイのデザインなど自己満足に過ぎない、という声に、僕は反対するわけではありません。にもかかわらずいい加減にしないのは、よれよれのスーツと、よれよれのシャツと、よれよれのネクタイを身にまとったサラリーマンに、仕事のできる者はいないと思うからです。
プライベートでも、いざ勝負!という日には、皆さん服装に力が入るでしょう。毎日の仕事もその意気で臨みたい、と、僕は思うのです。
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