その昔、神が造った
アダムとイヴが天国を追われて降り立った場所。さらにアダムの息子
カインが、弟の
アベルを殺した人類最初の殺人の現場となった由緒ある場所。それが、今はダマスカスの夜景を一望できるビュースポットとなった
カシオン山です。
最近、ムハンマド風刺画問題でも過激事件が起きたダマスカスですが、普段は治安の良い町です。警察国家だからという事情もあるけれど、シリア人は紳士的な人が多くて、旅のしやすい国。街を歩いても、体感的に危険な雰囲気はありませんでした。まあ、確かに警官の姿は目立つし、「アメリカ人を見たら石をぶつけてやる」と意気込む人にも会いましたが(笑)。
カシオン山はダマスカスの北にあって、山頂は軍事基地、その下が公園になっています。で、夜景を見に出かけた夜は、現地で出会った日本人の学生さんと一緒にヒッチハイクで山へ向かいました。
途中何度か車を乗り継いで、最後のドライバーに「ここから坂を上ったら公園だ。」と言われて降りたのは民家の軒先。そこから裏に回って、道もない急な崖を、「登り切ったところが軍事基地だったらどうしよう」とか言いながら2人ではい上がって、柵をまたいで公園にたどり着きました。何とか無事にダマスカスの夜景を眺めることができたけど、軍事基地だったらスパイ容疑で逮捕されたかも(笑)。
それだけに、ダマスカスの夜景は格別でした。アザーンの声が乾いた風に乗って山の上まで聞こえてきて、アラビアの都市だなぁという感慨がひとしおだったのをよく憶えています。
ひとり旅でなければ味わえない感慨は、やっぱりあるのです。少し無茶したおかげで出逢えた、または見ることができたこと。その感慨が味わいたくて、旅に出たくなるのです。
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