世界遺産として、日本にも広くその名を知られるぺトラ遺跡は、ヨルダン観光のハイライトだ。連日世界中から観光客が訪れ、ヨルダンの外貨獲得に多大な貢献をしている。映画『インディー・ジョーンズ−最後の聖戦−』の舞台に使われてからは、世界中の注目を集めるところとなった。
ぺトラ遺跡へは、僕のホテルから長い坂を下る。ビジターズ・センターで入場券を購入してさらに坂を下ると、いよいよ『インディー・ジョーンズ』にいう
「三日月の谷」の入口だ。切り立った岩に挟まれた狭い谷をしばらく歩くと、突如として、目の前に薔薇色の大神殿が現われる。ジョーンズ博士が、悪漢たちと最後の激闘を演じた舞台、通称
「エル・ハズネ」。こうして実際に目にしてみると、ジョーンズ博士が追い求めた聖杯が確かにあるらしく思われる岩の大建築だ。一日のうちに、日の当たり方によって50通り以上の薔薇色を呈すというドラマチックな姿は、中東随一の称もある。
そもそもぺトラ遺跡は、紀元前6世紀頃からこの辺りに定住したナバタイ人が造ったものだ。エル・ハズネにはヘレニズム建築の影響があるから、ローマ時代の作というのが定説である。確かに、エル・ハズネからしばらく奥に行くと、
ローマ劇場がある。
ぺトラ遺跡は、岩と砂漠の大地に無数の建造物が点在する大遺跡だ。エル・ハズネから1時間半ほど歩いた岩山の向こうには、
「エド・ディル」と呼ばれる修道院跡があり、高さ45メートル、幅50メートルの威容を誇ったその姿は、ペトラ観光のもうひとつのハイライトになっている。
かつて繁栄を誇ったペトラは、ついに紀元106年、ローマ帝国に併合され、さらに大地震などによって荒廃が進んだ末に、6世紀には人も住まぬ廃墟となった。
今はただ、彼らの造った岩の大神殿が、僕の目の前で薔薇色の輝きを放つのみである。
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