アラブ地域というと、日本人にはなじみの極めて薄い、遠い異郷という感じを免れない。したがって、1年前のアメリカでのテロのような事件があると、すぐにアラブ人は好戦的で危険な人種だという結論になってしまう。事実、僕のまわりでアラブ諸国に行ったという話は聞かないし、アラブ人と話したという例も見当たらない。そんな状況だから、僕も旅先での治安問題については、多少の不安をもっていたことを、ここに白状する。
しかし、実際にアラブを旅行してみて、アラブ人の性質の穏やかなるには驚いた。殊に僕を日本人と知った時の反応は申し合わせたように皆紳士的で、こちらから頼まなくとも助けの手を差し伸べてくれたことがたびたびあった。
自惚れかもしれないが、こうした旅行中の経験から、アラブ人は総じて親日的な人種だということを、僕は推断する。それは、ジャパン・マネーがこの地域にも進出して、彼らの生活の近代化に多大な貢献をしていること、日本政府からの財政援助が国の経営の助けになっていること等にもよるのだろうが、アラブを訪れる日本人の性質が、欧米人に比べて温厚なことが最大の要因だろう。ペトラで泊まった宿の使用人は、往来でフランス人らしい男に追い払われて、「あれだからヨーロッピアンはダメだ。僕は日本人が好きだ。」と言っていた。
アラブ滞在最後の1日となった今日、僕はアンマンンのキング・タラ−ル通りの辺りをぶらついていて、かかる親日的アラブ人に何度も出くわした。中にはサダム・フセインの国、イラクから来た男がいて、面食らっているところに「Japan is good country!」と握手をされた時には、さすがに僕も呆れてしまった。
今や世界の大国となった日本の国民は、もっと世界を知る必要がある。僕らの知らない世界中の親日家を失望させてはならない。
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