今までの旅で国境を超えたのは3回。十数回も旅をしたわりには少ないほうだと思います。それでも、国境を持たない日本人にとっては貴重な体験。この河の、またはこのゲートの向こう側は別の国、となると、そこに高い壁が存在するように感じるものです。実際に越えてみると、意外に変化がなかったりで拍子抜けするのだけど。
さて、世界の国境中文字どおり高い壁が存在するところ。それは韓国−北朝鮮の国境でしょう。
ソウルから北へたったの80キロ。そこに「北緯38度線」があります。今は、厳密に38度線ではないけれど、おおよそこの線に沿って南北分断線が走っている。
僕は1日ツアーに参加して、2ヶ所にわたって国境付近を見てきました。ひとつは板門店に近い自由の橋付近。もう1つは漢江をのぞむ高台に建つ「統一展望台」です。
国境地帯には、分断線を挟んで2キロずつの非武装地帯があって、北朝鮮を見ることはできない。でも、漢江のほとりの「統一展望台」からなら、彼の国の景色を遠く望むことができます。
幅の広いところで3.2キロ、狭いところで460メートルの河の向こうに見えるのは、まばらに民家が並ぶ平凡の農村。村の中を、赤土がむき出しの道が幾筋か鮮やかに通っています。
その集落の真ん中に、5階建ての集合住宅風の建物が見えています。なんだか、北朝鮮が自国の豊かさを誇るために(!)建てたんだとか。それは日本人にも、たぶん韓国人にも、逆の印象を与えてしまうみすぼらしい建物です。
朝鮮戦争の終わりに1000万の離散家族を生んだ南北分断線。50年以上経った今、容易に消えないとてつもない差が、このラインを境に横たわっています。
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