この前、中村さん解放の記事を書きました。そうしたら翌日、ある国会議員が、救助にかかった費用は自己責任だから返すべし、と発言したという記事が。うーん、難しいですねぇ。
中村さんが拉致されたのはイランのケルマーン地方。現在、外務省の海外安全ホームページによると「退避勧告」扱いになっている。事件が起きた去年10月の時点の危険度は分かりませんが、それなりの危険度はあったはずです。
そういうエリアに立ち入って、武装集団に誘拐される。国の言うことを聞かずにそんな目に遭ったのだから、自己責任だ。救助にかかった税金を返せ、という論法です。
ひとり旅はもちろん自己責任。体調の維持、毎日の宿や移動手段の確保などは、文字通り自己責任でみなければならない。けれど、戦争地域でもない場所で、事件に巻き込まれる不運に遭遇したことは自己責任なのでしょうか?
僕も今までいろんな国を旅してきました。そのほとんどは、外務省が「十分注意してください」としている地域。そこで誘拐にでもあって、「不注意だからだ」と言われると、弱ったなという感じです。
国民の安全を守るのは国の責務。結果として海外で事件に巻き込まれて救助された人は、係わってくれた人に感謝して、自分の行為をじっくり振り返ること。そして、説明すべきことは、責任をもって説明すればいいのです。それが責任の果たし方だと思います。
事は、金の問題ではありません。だいたい、「費用を返せ」なんて、国事を担う政治家にしては、ずいぶんケチな話じゃないですか。「人みなケチである」と夏彦翁は言うけれど、政治家はひと味違うというところを見せて欲しかったものです。
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