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魚の文化

 「日本の商品はとにかく何処に行ってもあります。けれど、日本という国は、ホント知られてないんです。どうしてだか分かりますか?」
 『ウーマンズフォーラム魚』の代表をつとめる白石ユリ子さんは、間をおいて、ひとわたり聴衆を見廻しました。
 「外国に行く日本人が、文化を語れないからです。皆さん文化を知らなさ過ぎます。自分の国のこと聞かれて語れない、こんなの日本人だけですよ。」
 文化といえば、まず衣食住のいずれかに属するはずで、それからすると日本は「魚食文化」の国だと、白石さんは言います。
 さらに「まわりをぐるっと海に囲まれて、5キロごとにひとつの漁村があるのは他に類がない、世界に誇るべきことなのに、海と猟師を粗末にして、日本は魚の半分以上を外国から買っているなんて、どう考えてもおかしいじゃないですか。魚を食べる日本人は、そんなことは無関心なんです…」日本中の漁村を歩いてきた白石さんの言葉は、聴衆を惹きつける力があります。

 白石さんは若いころ、さかなのイロハを近所の魚屋で教わったそうです。素材の特徴から料理の仕方まで、教わったことは今でも忘れられないといいます。商店街の魚屋は今や風前の灯火、「魚食文化」には触れるべくもなく、スーパーでパック入りの切り身を買うのが、今の日本人です。
 その切り身を見せられて、元はどんな姿をしているかと聞かれると、僕には全部答える自信はありません。もちろん、魚料理ひとつ、満足に作ることもできません。「魚食文化」を受け継ぐ日本人としては、何とも恥かしい話です。

 とにかく安けりゃいい、足りない時は買ってくればいいと、のん気に構えているうちに、日本の自給率は4割に落ち込んでしまいました。そのくせ狂牛病に怖じ気づいて、「食の安全」は大事だぞと、にわかに気を引き締めています。
 何事も刹那的な世の中。日本の食を思うなら、今に伝わる「魚食文化」を見直す必要があるのかもれません。
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