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トロツキー著『わが生涯』

先月、ここで年末年始には古典を読んでみたいと書きました。
選んだのは、ロシアの革命家トロツキーの『わが生涯』。
岩波文庫から上下二巻が刊行されています。
ロシアの歴史はほとんど知らないうえに1100頁を超える大著。
予想以上に骨が折れたけれど、何とか読破しました。
物語は、トロツキーの幼年時代に始まります。
現在のウクライナ南部にあたるヤノーフカの富農の子として生まれ、
学生時代にマルクス主義に触れます。
やがて革命運動に参加してからは、逮捕、流刑、逃亡、
亡命、闘争と続く波乱の人生。
レーニンと共にロシア革命を指導しますが、
後にスターリンとの権力闘争に敗れ、再び流刑。
やがて国外追放の憂き目に遭いました。
この本を書いたのも、追放先のトルコでのことです。

『わが生涯』は、トロツキーの強烈な意志が行間ににじみ出る、
情熱溢れる自叙伝です。
と同時に、20世紀初頭の世界史をダイナミックに語る名著でもあります。
逮捕、流刑、逃亡、亡命。
帰国してまた逮捕、流刑と繰り返して、
どんな境遇に遭っても強い信念だけは変わらない。
これだけの精神力を持った人のみが、歴史を動かしていくことが分かります。

トロツキーとレーニンが始めた社会主義国家建設の実験は、
70年の後、ソビエト連邦崩壊によって明らかな失敗に終わりました。
でも、自由主義経済の旗手のように振舞っていたホリエモンが、
あっという間に容疑者になったのをみると、
自由競争にも節度はやっぱり必要なのだと感じます。

社会主義の是非はともかく、自らの意思に生涯忠実だったトロツキーは、
人間として嘆賞すべきなのかもしれません。
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