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誰か戦前を知らないか

 「河童が覗いた」シリーズで有名な妹尾河童さんの本に、『少年H』(上下2巻 新潮文庫)という小説があります。妹尾さんが少年のころの神戸の様子を描いて、戦前の世相をいきいきと伝える名作です。
 妹尾さんは昭和5年生まれで、昭和16年の開戦の年は11歳、4年後の終戦時は15歳。「少年H」が肌で感じた戦前戦中は60年以上の昔で、当時の生活を語れる人は、今は少なくなっています。
 戦前の話なら、僕は実家の祖父母から子供の頃に聞いています。

 僕の祖父は終戦の年19歳。昭和20年2月に、房総半島高舘の海軍航空隊基地に入隊して、そこで終戦を迎えました。

 航空隊といいながら、基地に待機する零戦はすでに数えるほどだった、それもアメリカ軍のグラマン戦闘機の機銃掃射で戦わずしてヤラレてしまった、昭和20年3月10日の東京大空襲の夜、海を挟んだ西の空は真っ赤に染まっていた、「米軍が上陸したらお前たちは蛸壺に入って、爆弾を抱いて敵に体当たり攻撃を食らわすんだ」と上官に命令されたと、兵隊時代の記憶を、祖父はよく話してくれたものです。

 「蛸壺」とは、地面に掘った人ひとり入れるくらいの穴のこと。『少年H』にも、蛸壺を使った自爆攻撃の訓練の様子が出ていて、僕は子供の頃に祖父に聞いた話を懐かしく思い出しました。

 「戦前は真っ暗だったなんて大ウソだ、苦労もあったが楽しかった」と、これは、終戦時に神風特攻隊員だった母方の祖父がよく言っていた言葉です。同時に、夏彦翁がそのコラムで盛んに言っていることです。

 『少年H』は、真っ暗だったという戦前を、むしろ爽やかな明るさで描いています。大人と子供、隣近所の人々、学校の友達、親子の間のそれぞれの付き合いは、むしろ今より健全だったように感じます。
 そんな毎日を過ごした少年もいて、反対に、真っ暗だった人も中にはいたかもしれない戦前という時代の話をもっと詳しく聞いてみたいと、僕は思っています。
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