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01.プロローグ

今までの十数回の旅の中で、僕が唯一先進国を歩いたのは、イギリスの都ロンドンです。愛読書に昔のロンドンを描いた古い本があって、僕は、いつかこの本を持ってロンドンを歩いてみたいと願ってきました。
 で、その夢が叶ったロンドン旅行でも、僕は毎日旅行紀を書きました。本をたくさん読んでいったせいで、少々能書きが多いきらいがありますが、これから、時々『倫敦紀行』を掲載したいと思います。今日はその第1話…。
成田から飛行機に乗り込んで12時間余、僕は何の苦もなく倫敦に到着してしまった。かつて倫敦への旅が1ヶ月半の時間を要していた頃、日本人は太平洋から印度洋を経てスエズ運河を渡り、地中海から欧州大陸へ上陸したものだ。ところが、今や100分の1の時間でユーラシア大陸をひとッ飛び。如是閑が倫敦を目指したシベリア鉄道の上空を、たった数時間のうちになぞってきた訳だ。

 今回の旅に出る前、何ゆえ今さら倫敦などへ行くのだと人に随分言われたが、是非もない、昨今の世界情勢は、僕に冒険旅行を一時休止せしめ、遂に憧れの都へ向わしめる趣を呈しつつある。総ての道は倫敦へ、ではないが、僕は今までヒマラヤ山中で、メコンの濁流の上で、アラビアの陽射しの中で、アンデス高原の星の下で、来るべきロンドン訪問の日を夢見ていた。

 僕の夢のうちにあったのは、即ち100年前の倫敦である。これから僕が目にするのは、21世紀の倫敦である。永年憧れた倫敦に逢うために、漱石のいわゆる「地下電気」に乗って、まずは市内へと出かけよう。
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