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1.プロローグ

世界有数の文明国の、堂々たる国際空港に降り立つと、僕は途方もない大都会に迷い込んだような気がしてひどく落ち着かない。文明国といえば英国に行ったのみで、世界的大空港はトランジットで利用したことがあるばかりだが、そのトランジットが、途上国を旅してきた者には難事業だ。
パリ・シャルル・ド・ゴール空港に着いて、飛行機から移動のバスでターミナルの一角で降ろされて、東京から12時間のフライトを終えたばかりの僕は茫然と立ち尽くした。

この大空港は大きく6つのエリアに分かれていて、それぞれに夥しい数のゲートがある。僕が乗るカサブランカ行きのフライトは4時間も先で、案内画面にはいまだ表示がない。付近を歩き回ったあげくエール・フランスの係官を捉まえて、ようやく出発ゲートを突き止めることができたのだ。

カサブランカ行きのフライトが出るターミナルは、全面ガラス張りの洒落た建物である。パリの空港だけに、というわけではないが、ブランドの店が軒並みで、日本の団体客のようなのが多く買い物をしている。僕みたいな貧乏人はそんな店に用はないから、コンビニで一番安いミネラル・ウォーターを買ってきて、片隅のベンチに引っ込んでこれを書いている。

インドへの道を突然閉ざされて2週間。何の因果か、このパリの大空港を経由して、北アフリカ・マグレブの一国モロッコへ向かう。アラブ人とベルベル人が造った彼の国の真諦を、10日間の旅で心ゆくまで味わってみよう。
モロッコ紀行 | comments (0) | trackbacks (0) admin

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