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お袋の味

僕の向かいの席に座る女性職員は、父親が作った弁当を持って出勤してきます。彼女は、僕よりも4、5歳若いばかりですから、父親はまだまだ現役。出勤前に妻と娘の朝食を作り、弁当まで持たせて家を出て行くという、女性には羨ましいような父親です。
今年で1人暮らし11年目の僕は、料理をするのはどちらかという好きな方です。結婚してからも、週に何度かは、家族に夕食を振舞ってみたいとも思っています。男子が厨房に入ることは、今の時代大いに推奨されるべきで、それなりのレパートリーを身につけるのは男の嗜みだと、すでに結婚した同期の仲間にも主張しています。

 しかし、父親お手製の弁当を美味しそうに食べながら、「結婚する相手は料理が上手な人じゃなきゃダメ」という彼女の感覚に、僕は首を傾げています。疑問を感じたのは、パートナーに料理の腕前を求めることに対してではありません。キャリア・ウーマン志向ではない彼女が、やがて子を持つ母親になったとき、厨房での主役の座まであっさり放棄するのではないかと疑うからです。
 大正生まれの祖母からもらったいちばんの愛情は、忘れ得ない「お袋の味」にあったと、僕は思っています。だから、自分の子供にも、母親が作る「お袋の味」を与えてやりたいと願うのです。

 祖母は、戦時中に祖父と結婚。我儘な夫と姑に散々苦しめられ、我慢の連続だったと、僕に語ってきました。「お袋の味」は大事だけれど、未来の妻になる人に、そんな思いはさせたくないものだと、僕は2つの願望のはざまで悩んでいます。
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