フェズ・エル・バリ最大の門、ブー・ジュルード門をひとたびくぐれば、そこは中世北アフリカ。過酷なサハラを越えてきたキャラバン隊が、この街に入ってきた時の喜びはどれほどだったろう−と想像してみる。

前日までは、強行スケジュールで踏破するサハラの旅だった。だから僕も、夜行バスに乗って息も絶え絶えにたどり着いた時の感激は忘れられない。


古びた日乾しレンガの家並みの頭上には鮮やかな青い空。曲がりくねった小径のまとう異国情緒に誘われるまま、迷路の奥へ歩いてみよう。