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読書と出逢い

最近、『理科系の作文技術』(木下是雄著 中公新書)という本を読みました。この本は初版が1981年。新書としては、かなりのロングセラーです。文章技術に関する著作は、近年になって、書店でも目につくようになりました。しかし、僕がそれらのいずれでもない、20年以上も前に出された木下氏の本を手にしたのは、山本夏彦翁の紹介(『完本 文語文』(中公文庫))によってです。
「友人というものに死人も生人もない」と、夏彦翁は言います。この言葉を遺した夏彦翁も、すでに2年ほど前に鬼籍に入っていますが、僕が翁と知り合ったのは今年になってからです。ちなみに、夏彦翁を僕に紹介したのは、今をときめく養老孟司氏(『養老孟司の〈逆さメガネ〉』(PHP新書))。その養老氏とは、彼の講演会で、講師と聴講者という立場で知り合いました。

 夏彦翁の言葉に従えば、今、大河ドラマで活躍中の近藤勇や西郷隆盛、坂本龍馬などは、僕にとっては旧知の間柄です。まして、織田信長、足利尊氏、武蔵坊弁慶、聖徳太子といった面々は、幼い頃から共に育った“竹馬の友”といっていいでしょう。中学高校の頃、試験勉強の息抜きには歴史本を読むほどの歴史好きだった僕には、生きた友人よりも死んだ友人の方が、あるいは多いかもしれません。

 『完本 文語文』の中で、夏彦翁は、僕が学生時代に出逢った中江兆民を盛んに推奨しています。若年以来、兆民とは音信不通になっていたのですが、夏彦翁の仲立ちで、晩年の著書『一年有半』(岩波文庫)を読み直しています。ついでに、兆民の弟子の幸徳秋水とも、この際、僕は友人になりたいと思っています。

 ことほどさように、読書は、過去に新しい友人を探す旅でもあります。次なる出逢いに期待を膨らませて、今日も、僕は行きつけの本屋に足をはこびます。
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