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イカの話

夕方、東京霞ヶ関の、さる中央官僚を訪ねました。仕事柄、霞ヶ関の官僚と接することは多いのですが、彼は、僕の個人的な知己の中でも、特別に地位の高い人です。世に云う○○省高官というやつです。
 僕のような若僧が、どうしてそんな御仁と付き合いがあるのか。それは、僕が特別に仕事ができるから、では、断じてありません(苦笑)。勿論、賄賂を使ったわけでもありません。
同氏は、○○省高官という肩書きの外に、数足のわらじを履いています。曰く、日本ペンクラブ会員、曰く、森の探検家、曰く、ノンフィクション作家。中公新書から『森林理想郷を求めて』と題する著作も発表しています。某大学から博士号を取得した経歴も持っています。
 中央官僚というと、とかく明晰な頭脳で国家を動かすエリートというイメージがあります。事実、僕が接してきた官僚の皆さんは、机上の空論を振り回して、面白くもない話をする人が多かったように思います。(失礼!)

 しかし、同氏は全く違う。発想が他の官僚とは全然違うのです。話をしながら、僕は何が違うのかずーっと考えていました。そして考えているうちに、養老孟司氏の本にあった「スルメを見てイカがわかるか」という言葉を思い出しました。
 目の前で喋る、日本ペンクラブ会員兼、森の探検家兼、ノンフィクション作家兼、農学博士の先生は、活きたイカの話をしているのです。死んで干物になったスルメは歯牙にも掛けないから、話が面白いのです。
 彼は、週末になると、離島や僻地と云われる場所に赴いてその土地を体感し、東京に戻っては、現場で活動する様々な分野の人々と杯を共にします。彼の頭の中には、常に新鮮なイカが踊っているのです。

 都会には情報が溢れていると云うけれど、溢れている大半は、干物になったスルメに過ぎません。スルメを見てイカがわかった気になってはいけない。旅人が外国で常に思い知らされることですが、日常に戻ってしまうと、簡単には気がつかない。
 旅人たる者、イカを語る、魅力的な人間にならなければなりません。
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