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おしんの故郷

「かぁちゃーん、かぁちゃーん!」
イカダに乗せられて奉公に出される少女が、全国のお茶の間の涙をさそったドラマ「おしん」。ある年代以上の人なら、ご記憶の人もいるでしょう。
 僕の故郷は、おしんが生まれ育った故郷です。
 新幹線が山形駅のホームに滑り込むと、花笠音頭のリズムが流れてきます。列車を降りて息を吸うと、都会とは違う新鮮な空気。とたんに、故郷に帰ってきたなぁという感慨がわいてきます。

 山形県の真ん中に、月山(がっさん)という山があって、その麓に僕の故郷、西川町があります。月山は万年雪に覆われていて、その雪が地下にしみ込んでしみ込んで、400年経って湧き出した水で、僕は育ちました。東京の薬くさい水で暮らしていると、故郷の水のありがたさが、よくわかります。
 月山は夏スキーのメッカ。スキー場開きをする4月半ばから7月末まで、日本中からスキーヤーが押し寄せます。朝に月山でスキーを楽しんで、昼に日本海で海水浴ができる日本で唯一の場所だと、東京でキャンペーンをしたこともありました。

 今までたくさん旅をして、どこが一番良かったかと聞かれると、僕は真っ先に「故郷」と答えます。毎日雪に輝く月山を眺めて、うまい水を飲んで、山で採ってきた山菜を食べて暮らす。世界のどこに行っても、こんな贅沢はありません。

 もう今は、おしんの時代のような苦労もありません。100年経った自分の故郷を見たら、おしんはどんな感想を漏らすだろうかと、月山を眺めながら想像しています。
ふるさと | comments (2) | trackbacks (0) admin

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