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山本夏彦『日常茶飯事』(新潮文庫)

 僕が日本語を学んだ本は数々ありますが、近ごろ特に好んで読むのが山本夏彦翁のコラム集です。工作社を主宰して、建築雑誌『室内』を世に出し続けた、当人の言葉を借りるなら「編集兼発行人」です。
 「何用あって月世界へ」「テレビの正義を笑う」「悪いのはいつも他人」「偽善は常に正義を装う」「水清ければ魚すまず」「政治家だけが極悪人か」「すべてこの世は領収書」「世間知らずの高枕」「平和な時の平和論」

 夏彦翁はタイトルの名人です。タイトルを見ただけで、読まなくともその内容を推察することができます。世の中の不合理をズバリ一言で衝いて、それに続く切れ味鋭い文章で、うさんくさい常識の嘘をえぐり出します。僕はそのグッド・ユーモアに魅せられて、『日常茶飯事』以来、夏彦翁の愛読者になりました。

 夏彦翁は、誰にでも分かる簡単な言葉で語りながら、所々に含蓄のある言葉を用いて、読者を立ち止まらせて莞爾とする名文家です。そのコラムはストレートですが、緻密に計算された文章であることが、読む者にはすぐに分かります。

 読むたびに新しい発見がある作品は、世の中にそう多くないものですが、夏彦翁のコラムは、何度でも読んでみたくなるものばかりです。
 皆さんぜひご一読を。
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